昨年の学会で発表した演題
自己愛パーソナリティに対する臨床事例 2025演題発表
自己愛性パーソナリティ障害の特徴は自己認識を他者の視点に頼りきりで、かつ他者の気持ちや欲求に気づこうとしないという共感の欠如である(DSM-5)。
ACを対象とした開業者を訪れる人々が抱えている課題には、こうしたDSM-5の示す分類に該当せずとも、自己愛の毀損に起因する複雑な外傷性反応が診られる。そうしたパーソナリティを紐解いていくと、両親または養育者との関係性において自己の存在を確認する作業が失われた体験と時間の経過が観察できる。そのため、かれらとの臨床的な関わりは、表現されている対人関係の支障、感情制御の問題、自己認識の問題などを次々に解消しながら、自分とは何を欲している人なのか、この先、年齢や状況に沿ってどのような将来を描くのかという実存的な課題へと変化していく。
こうした自己愛パーソナリティに対する介入は、子ども時代に身を守るために設定した防衛機構と世界観の育て直しに関わるため時間と寛容と忍耐が求められる。
本稿では自己愛パーソナリティに対して筆者が試みた主な臨床的検討を示し、今後の課題を抽出していきたい。
自己愛パーソナリティの防衛:
・非現実な理想にこだわり自分はそれを達成していると自らを思い込ませるか、達成できない自分を人間らしいと許容せず、自分には欠陥があると定義づけ、理想化と価値下げを繰り返す。(マックウイリアムズ,2005)
・カウンセリングを自己を理解するためと取り組むのではなく、自己の欠陥を完全なものにするものと執着するため、完全への欲求は常に失敗し、自己や他者への絶え間ない批判につながる。また、他者から批判のように感じられるものに直面すると耐え切れぬような恥を感じるため、人間存在への曖昧さの中に喜びを見出すことができない。(マックウイリアムズ,2005)
自己愛パーソナリティに対する精神療法の方向性:
・クライアントが自己の一体性を維持しつつ、より理想的な自己へと成熟しようとするのを助ける、ないしはそうすることによってクライアントさんの欠陥を補修する(斎藤,2020)。筆者は個人面接と集団心理療法の併用を通した臨床的人間関係の枠組みを使い、セラピストの体験する苛立たしさ、無力感などの逆転移感情や自分自身の弱さに対する現実的な姿勢を体現した。
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